本物の愛
恋心
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次の日の朝。
天気はいいのにヤケに肌寒く感じた。
ひんやりした風が肌をかすめる。
「紅香!おはよー」
「おはよ」
かすみはいつもと変わらない笑顔で駆け寄って来る。
教室について机に鞄を置いた。
「かすみ、カーディガン着てるんだ?」
「うん。今日寒いでしょ?」
グレーのカーディガンのすそを出しながら言う。
「なんで今日こんなに寒いんだろ?」
あたしがてきとうに話したら、かすみは。
「今日嫌なことでもあるんぢゃない?」
そんな不吉なことを言われた。
かすみの勘はこの時当たるとは思っていなかったんだ。