本物の愛
それから特に何ごともなく、時は過ぎて行った。

つまらない毎日だった。

「どぉよ?タクは~」

教室でうちわをぱたぱたとあおぎながら聞いてくる友達のかすみ。

スタイルもよくて、すごく大人っぽい。

だからなのかすごくモテる。

そんでもってとてもいい友達。

なんだかあたしにとってかっこいい存在。

「うーん…。これといって特にないな」

「本気で好きになれそ?」

「ぜんっぜん」

「即答とかー!タクかわいそ~!」

言葉とは逆にケラケラ笑っている。

かわいそうなんか絶対思ってない。


「なんか…、もぉ無理かも。別れたい」

「はーぁ?なんでよー?」

「…だってー、ヤるためだけの彼女ってかんじだし。好きじゃないし。つまんないし」

あたしがそう答えると、かすみは真面目な顔してため息をついた。

「いつ、現れるのかねー?本気で好きな人」

「なんか、もぉ現れない気がするよ…」

「まぁまぁ(笑)」


ほんとだよ…。

いつ、現れるの?

あたし…、こんなに待ってるのに。

本気で人を愛したことも。

好きになったことも。

恋愛したことも…。

一度もないんだから。
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