本物の愛
あたしが問い掛けると、いきなり樹に身体
を引き寄せられた。
一瞬にてあたしは樹の胸の中。
「きゃ…っ!樹?離してよ」
ぐいぐいと精一杯に樹の胸板を押す。
それでも全然敵わなくて。
昔、付き合っていた頃からの甘い香水の匂い。
その匂いが懐かしくて。
「今の彼氏ともうまくいってねえんだろ?だったら俺と浮気しようよ」
そう言って両手首を押さえ付けられた。
顔をぐっと近付けて。
今みたいになったらきっと昔のあたしは当たり前に相手の首に腕を回してたのかな?
それで今まで何人もの男と別れて来たのだから。
今はもう……。