本物の愛
唯人……。
なんでいるの。
なんで見られちゃったの。
会いたいと思っていたけど、今はだめだよ。
こんな所、一番見せたくなかった…。
「……紅香…」
唯人の切なそうに歪む顔。
違うよ?
あたしはこんなこと望んでない。
裏切られたと思った?
そんなこと……、しないよ。
「……てめぇ…」
唯人のドスがきいた低い声。
この声は、あたしを守ってくれる時の声。
「…てめぇ、何人の彼女に手ぇ出そうとしてんの?許されると思ってるわけ?」
唯人は樹にガンを飛ばして近付いて来た。
「…ご、ごめんな。これは事故で」
「ぢゃあ早くベッドから降りろよ」
手荒く樹の肩を掴んで、ベッドから降ろした。
「とっとと消えろ」
唯人がそう言うと樹は保健室から出て行った。