本物の愛
一気に恥ずかしさが胸を覆って。
どうすればいいか分からなくなって目をぎゅっとつむった。
絶対顔、赤くなってるよ…!
「紅香?どうした?」
唯人があたしの顔を覗き込んだ瞬間…。
キーンコーンカーンコーン~♪
休み時間終了のチャイムが鳴った。
ぴたり、と唯人の動きが止まって。
唯人は苦笑いを浮かべた。
「ごめん。もう行くね」
と、ポンと頭に手を置いてからベッドから離れて、回りのカーテンを開けた。
「具合悪そうだから今日は早退した方がいいよ。先生に言っておくから」
わがままだけど、まだ行って欲しくなくて。
あたしは黙って唯人を見つめた。
そのあたしの視線に気付いたのか歩む足をぴたりと止めた。