本物の愛
「……仮で付き合ってるのに『俺の女』とか言って…ごめんな?」
寂しそうに笑ってそう言った……。
あたしは何も言えず、保健室から出て行く唯人の背中をただ見ていた。
そんなこと、思ってないよ…。
助けてくれて、そう言ってくれて嬉しかったよ…。
そんなこと、言わないで…。
自然と涙が溢れて、静かに頬を濡らしていった。
真っ白な布団のシーツに涙がどんどん染み込んで、白がくすんで見えた。
唯人が、好きなの。
唯人が、こんなにも好きなのに…。
あたしを見てくれることはないの?
ただ、あなたが好きなのに───…。