ももいろ
「いや、困ってるって!バンドなんて、お金いくらあっても足りないんだから」
小雪は断言した。
「そうなの?っていうかなんで知ってるのそんなこと」
うふふん、と笑って、小雪は少しくねくねしはじめた。
「彼がね?ライブとか見に行くの、好きで。詳しいんだ結構」
あ、そゆことですか。
「あたしも、彼氏と一緒にこの前初めてライブ行ってさ。楽しいね、あれ。インディーズのイベントだと、バンドの子達と喋れたりするし」
「そうみたいだねえ。CDとか、自分たちで売ってるんだもんね」
「CD出すのもお金かかるんだよ」
「そういうもんなの?」
「そういうもんです。そんでさ、その、家政夫くんは、なんてバンドなの?」
「TKOってバンドの」
小雪は驚いたようで、口をぽかーんと開けている。
「TKOのギターでボーカルっていったら、司クンじゃん」
「知ってるの!?」
「知ってるも何も。この前、見たもんライブ!彼氏が今、インディーズの中で一番お気に入りのバンドなんだよ!」
「へえ…そんなにすごいの」
「すごいよ!来月なんてワンマンやるじゃん!あたし達、行くよ!」
「あ、ワンマンやるんだ」
前酔っぱらったときに言ってたけど、決まったんだ。よかったね司くん。
小雪は感心している。
「司クン、真面目なんだねえ…。それにしても、そんなガミガミ言うんだあの子。MCなんて谷川クン任せで、ほとんど喋らないのに」
「そう、すっごいうるさいの」
小雪はあたしに冷やかすような目線を送ったあと、
「ふ、嬉しそうに」
と言った。
「で、なんで出勤が増えるのよ?何を無理することがあるの?」
「うん…何も考えたくなくて」
小雪は無言で首をかしげて、話の先を促した。
あたしは、司くんといるとつらくなる時があることとか、自分の気持ちの矛盾を全部話した。
「惚れたか」
「へ?なんでそーなる…」
「惚れたんでしょう」
小雪はあたしの頭をなでた。
「いろんなこと、麻痺して忘れちゃった?桃花。それ、恋っていうんじゃなかったっけ?」
小雪は断言した。
「そうなの?っていうかなんで知ってるのそんなこと」
うふふん、と笑って、小雪は少しくねくねしはじめた。
「彼がね?ライブとか見に行くの、好きで。詳しいんだ結構」
あ、そゆことですか。
「あたしも、彼氏と一緒にこの前初めてライブ行ってさ。楽しいね、あれ。インディーズのイベントだと、バンドの子達と喋れたりするし」
「そうみたいだねえ。CDとか、自分たちで売ってるんだもんね」
「CD出すのもお金かかるんだよ」
「そういうもんなの?」
「そういうもんです。そんでさ、その、家政夫くんは、なんてバンドなの?」
「TKOってバンドの」
小雪は驚いたようで、口をぽかーんと開けている。
「TKOのギターでボーカルっていったら、司クンじゃん」
「知ってるの!?」
「知ってるも何も。この前、見たもんライブ!彼氏が今、インディーズの中で一番お気に入りのバンドなんだよ!」
「へえ…そんなにすごいの」
「すごいよ!来月なんてワンマンやるじゃん!あたし達、行くよ!」
「あ、ワンマンやるんだ」
前酔っぱらったときに言ってたけど、決まったんだ。よかったね司くん。
小雪は感心している。
「司クン、真面目なんだねえ…。それにしても、そんなガミガミ言うんだあの子。MCなんて谷川クン任せで、ほとんど喋らないのに」
「そう、すっごいうるさいの」
小雪はあたしに冷やかすような目線を送ったあと、
「ふ、嬉しそうに」
と言った。
「で、なんで出勤が増えるのよ?何を無理することがあるの?」
「うん…何も考えたくなくて」
小雪は無言で首をかしげて、話の先を促した。
あたしは、司くんといるとつらくなる時があることとか、自分の気持ちの矛盾を全部話した。
「惚れたか」
「へ?なんでそーなる…」
「惚れたんでしょう」
小雪はあたしの頭をなでた。
「いろんなこと、麻痺して忘れちゃった?桃花。それ、恋っていうんじゃなかったっけ?」