ももいろ
俺はリビングで頭を抱えていた。


思い出した。


サツキさんに、いつも仕事でしてること俺がしてあげるよぉ、とか

元気ないからとか言ってほっぺにチューって



したわ、した。


わあああ。

ごめんなさい…。


そりゃ、サツキさん、怒るよなぁ。



でもそれにしても…



背中流すって…

今から?俺が?サツキさんの?



まずいよそれ。

俺一応男…


サツキさん…

何考えてるんだ?



何も考えてなさそうだなぁ。



それにしても…



あの人、酒癖悪いな。



俺は気を落ち着かせるために、肉じゃがを口に放り込んだ。


ガリッ…


固い。

出来上がった時のサツキさんの顔を想像して、少し笑った。

慣れないことするからだよ…。

ワンマン成功のお祝い、か。

可愛いとこあるじゃん。

こんなことされて、あんな風にくっついてこられたら、

普通の男なら

肉じゃがと一緒にいただきまーすしちゃうよ?


俺はしないけど。


だってあの人酔っ払ってるから。



ん?

じゃあ、サツキさんが酔っ払ってなかったらどーなの俺。



…。



ないわ。ない。



好きな人とじゃなきゃセックスしません!

なんて俺は言わないよ。

今は忙しいからナイけど、若い頃は…ねぇ。

バンドやってりゃいろんな人が周りにいるわけで…

それなりの子が寄ってきたらつまんじゃいますよ、男ですから。


サツキさんはつまめない。


あの人のしてる仕事、考えたらなおさら。

プライベートくらいは、幸せなセックスしてほしいと思う。

きまぐれや、酔った勢いなんかじゃなくて…

サツキさんには、好きな人としてほしい。

うん。

好きな人…いるのかな?

いたら、あんな酔い方、しないよね。

酔うといつもああなるのかな?

ダメ!

いただかれちゃうよ!

俺はサツキさんを大事にするけど、他の奴は…



て、ん?
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