【短】野球ボール〜励ちゃんの春〜
最初の柔軟の相手は爽。


「爽はどこのポジションだったの?」


「だーかーら!!ソウソウって呼んでって!!結局中学でも、誰もそう呼んでくれなかったんだよなー」


……だろうね。

それに俺は、シンプルなのが一番好き。


「俺はサード!!励ちゃんピッチャーだろ?すごいなーっ」


励…ちゃん?

生まれて初めて、ちゃん付けされた。

別に呼び方にはこだわらないけどさ…。




「すごくないよ。ジャンケンで決めたし」


どうしても監督が俺の代にピッチャーを作りたかったらしいんだけど、誰もやりたい奴がいなくて。

なぜかジャンケンになって、俺になったの。

監督も、俺なら肩が強いから大丈夫だとか言って。


「ジャンケン!?じゃあ励ちゃんは運が強いんだな!!」


「……!?」


正直、爽には驚かされた。

どんなことも前向きに考えれるなんて、すごいなと本気で思った。
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