僕の魔法使い
「とぅっ!」
「……今のは何が起こった魔法なの? まりこ」
いくら人通りが少ないとはいえ、まだ日の高い五月の夕刻に河原で妙な形をしたステッキを振り回す十七歳の少女とはいったいいかがなものなのだろうか。
そしてそれを付かず離れずの距離で傍観し続けている十七歳の少年も。
「今のはね、もうすぐみのりに何か幸せなことが起こるっていう魔法だよ」
無邪気なきらきらした笑顔を僕に向けて、まりこはえへんと胸を張る。それがあまりにも漫画じみていて、なんだかどうでもよくなって僕も笑う。