僕の魔法使い

「帰ろうか」


僕が自然と土手から立ち上がって河川敷に立っていたまりこに手を指し伸ばせば、まりこはひどく幸せそうに相好を崩した。

真っ白な指先が僕の手に落ちて、きゅっと力を入れた僕は彼女を引き上げる。少しだけ急な土手を上れば、緩やかなあぜ道が僕たちの日常へと続いていく。

風はまだ少し冷たかった。


「みのり」

「なに?」

「ちょっとだけ、眼閉じて」



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