僕の魔法使い
はにかんだ声が可愛くて、僕は足を止めてゆっくり眼を閉じる。
みのり、ともう一度僕があまり好きじゃない僕の名前を彼女は呼んだ。
次いで右頬に柔らかな熱を感じて、僕はこそばゆくてたまらなくなる。
ああ、確かに僕は幸せだ。
我慢できなくて眼を開ければ、まだ早いよとふてくされた表情をしてみせたまりこが見えて。
「はい、みのり」
「ちょっ……びっくりした、落ちちゃうよ」
「みのりが急に眼開けるから駄目なんだよっ」