僕の魔法使い
まりこのことを話そうとして、いつも一番に思い浮かべるのは純粋な笑顔だった。
けれどその直後、純粋すぎるかもしれないと一拍置いて僕はいつも言いなおす。
僕はまりこのきれいな笑顔も、ふわふわと地に足が付かないような生き方も、とろけた飴玉のようなしゃべり方も、何もかもが好きだったのだけれど。
彼女はただひどく、弱かったのだ。
だから僕はいつだって言いなおしてしまう。
うん良い子だったよ、すごく。可愛くて。
ただきっと、まりこはこの世界の住人じゃなかったんだよと。
たぶんまりこは、魔法使いが本当にいるような幸せな、それこそお菓子を食べてさえいれば生活できるような世界に生まれて来たのなら、幸せになれたんじゃないかと思うんだ。
だから、まりこは悪くない。