僕の魔法使い
僕は今日もひとつ、まりこが残していった魔法のキャンディを口に含む。
噛むのがもったいなくて、溶かしてしまうのがもったいなくて、いつも時間をかけて舌先で転がす。
そして最後。
口の中に何も残らなくなってから、妙に甘い唾液だけが残る口内で、僕は呟くのだ。
どうか僕に、まりこを返してくださいと。
(幸せな魔法。
かけたのもこれを解くことができるのも、ただ一人僕の大好きなきみだけだったのに。)