TIME
「で、お前何で八城がいいんだ?」
あれから里田は口を開けば八城、八城って繰り返し言っていた。
当然何度も繰り返されると少し不快なのでそろそろ誤解を解いておかないと
「だから八城の真似じゃないって言ってるだろ?」
「嘘つけ!それにお前気が付いたら八城の方ばかり見てるじゃないか」
「だから違うって。誤解だって」
「何が誤解なんだよ、目線はいつだって八城向きなくせに」
「だから違うって」
「どう違うんだよ」
どう…違うんだろう
俺は八城が好きなのか?
でも…この感じはちょっと違う様な…
「例えばだ」
「あの、あれだ」
「じじいかお前は」
「違う!えっと…」
すると里田は笑いながら
「もういいよ、分かった分かった
俺も楽しみ過ぎたよ悪い」
俺は笑いを抑えながら謝る里田に苛立ち鞄を掴み席を立った
「お、どこ行くの?俺もつれ…」
「いつも通りバイトだよ!じゃあな」
俺は早歩きでその場を離れた
残された里田は自分の机に置いてあるペットボトルの蓋を開けて一口飲んだ
…何が違うんだよ守中の奴
里田は狼狽えた守中を思い出し笑い
そしてお茶が気管に入り咳き込んだ。