TIME
「腕……どうしたの?」


守中君が私の横で自転車を押しながら聞いてきた。


「あのね、これはウォーターフラワーっていうバンドの……」


「腕……どうしたの?」


「だからこのリストバンドは……」


必死で言い訳をする私に守中君は私のリストバンドを見ながら言った。


「リストバンドから包帯の端っこがはみ出してるよ」


私ははっとしてリストバンドを見た。


……見えてる。



私は何もしゃべれなくなってしまった。


「あのさ……」


守中君が口を開く。


「何でそんな事したわけ?」



「……」


私は何も言えなかった。



呆れた顔で言った。



「そんな切傷体に残すより薬で死んだ方が楽じゃない?」



私は……絶句した。


なんていうか





「やめろよ」とかそう言う言葉に対しては私は動じないつもりだったけど




まさかこんな事を言われるなんて。


でも、守中君は続けてこう言ってくれた。









「でもどうせ、生きるのはきっと辛い事だから、だったら死ぬより生きて欲しい。
だってさ、幸せって漢字の中には辛いって文字も入ってるんだよ?」



だったら、辛いってのも悪くないんじゃないかな?




って



おじいちゃんのお説教よりも臭い。
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