TIME
里田が引っ越してから月が一つ過ぎた

あれから俺はバイトをしながら八城さんと度々メールのやり取りを繰り返し


最近ではバイトの無い日は八城さんと二人で下校する日が増えた。


といっても未だ会話はありきたり。


周囲からチラホラ


「付き合っちゃいなよ」

という言葉が舞う度に


俺も八城さんも顔に苦笑いを浮かべる。


そんな時間が二人を近づけ、遠ざける。



紅く焼ける夕暮れの街を、

今日も俺達は


言葉少なげに歩く


多分お互いに嫌われている印象はない


ただ、お互い心の奥底に


暗い、黒い、何かを隠している
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