TIME


「最近、時計付けてないね」



八城さんは夕暮れ照らされた横顔を俺に向け言った。



「ああ、そう言えば最近付けてないね」



誰も知らないという安心感から深く考えずに俺は言う。



「……ねぇ、腕時計はどうしたの?」


「別に理由何か無いよ、ただ面倒だから付け忘れたままほったらかしにしてるだけ」


「ねぇ……腕時計はどうしたのって聞いてるの!」


声を荒げた博美の言葉が秋の高い空と俺の心に突き抜けた。



そして博美の


言葉が


俺を


もしかしてと焦る俺を揺らす。


「ねぇ、発症者なんでしょ?」
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