蜜林檎 *Ⅱ*
「本当
 ユリちゃんは大丈夫なの?」

「ユリはもう慣れたものさ
 シンは、あたふたしてるがな
 産まれたら、シンから
 連絡が入るから・・・
 
 また、電話する
 病院に顔出してやってくれ」

「わかった、そうだ
 お父さんナナは?」

百合の娘、菜那は今、雅也の隣
で人形遊びをしている。

雅也は、杏にあるお願いを
するのだった。 
 
「アン、おまえ今日は
 バイトはあるのか?
 休みなら、こっちに戻って
 ナナを見ててくれると
 有り難いんだが・・・
   
 月に一度の町内の会合が
 昼前からあるんだ
 出てないとな・・・」

「わかった
 バイトは休みだから
 これからすぐに戻るわ

 じゃあ、後で・・・」

電話を切った杏は、昨夜
脱いだ服を手に取り
着替えて、洗面所で顔を洗う。

その水の音に、目を覚ました樹

「杏、おはよう」
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