蜜林檎 *Ⅱ*
「イツキ、起こしちゃった
 ごめんね
 イツキ、今日、一緒に
 過ごせなくなったの
   
 ユリちゃんの陣痛が
 始まって、姪のナナを
 見ててあげなくちゃ」

「陣痛って事は、今日
 産まれるの?」

「うん、昼過ぎか、夕方には
 産まれるんじゃないかって
 お父さんが・・・」
   
杏は、産まれたと連絡が入れば
病院へ顔を出して百合に
おめでとうと、お祝いの言葉を
かけてあげたい。

「それに、赤ちゃんの顔も
 見たいし
 ここに戻ってくるのは
 夜の19時頃になるかも
 しれない、ううん
 もっと遅いかも・・・
 
 でも絶対帰ってくるからね」

「俺も一緒に行っちゃ駄目
 かな?
 ユリの事、気になるし
 でも、邪魔になるか・・・」

「いいの?
 せっかくの休日なのに・・」

樹は、頷いた。
  
二人は出かける用意を済ませ
雅也の待つ家へと向かう。
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