蜜林檎 *Ⅱ*
「俺はいいよ、会合がいつ
 終わるか分からないし
 どっちにしても近くの
 弁当屋ですませる・・・
   
 そうだ、今日はもう
 店を休むから、イッキ
 夜ご飯、食べて帰れよ
 うまいもん作ってやるからな
 待ってろ」

「はい・・・」

「おっと、時計に財布と・・」

相手の都合など聞かずに一方的
に事を決める雅也は忘れ物を
取りに自分の部屋へ入って行く
   
「お父さん・・・」

樹は、杏の肩を叩いた。

「いいの?
 せっかくの休みなのに疲れる
 こと無いんだよ
 お父さんと険悪なムードの中
 ご飯を食べるなんて
 嫌でしょう」

「いや、親父さんの飯
 久しぶりに食べたいから」

「ありがとう・・・イツキ」
 
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