蜜林檎 *Ⅱ*
杏は、樹を好きである前に
モーメントの大ファンなのだ。
 
モーメントの新しい音楽を
これからもたくさん聞きたい。

ずっと、樹の声を聞いていたい。
 
「だから、一人の時間だって
 苦しくない」
 
杏の言葉に

百合は気づかされた。

「そうね・・・
 わたしは、イッキと
 毎日一緒にいることが
 あたりまえだった事が
 駄目だったのね
   
 お父さん、二人の事を
 許してあげたら?」

百合の

『許してあげたら・・・』
 
その言葉は、雅也の胸に
鋭く突き刺さる。

「ユリが許しても
 
 俺は二人の事を許せない
 
 ・・・」
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