蜜林檎 *Ⅱ*
公園から戻った菜那は、疲れて
眠りに付いていた。
 
その寝顔を見つめながら、樹は
遠い昔、杏の寝顔を思い出す。
  
あの時も樹は、寝顔を見つめて

こう言った。

「天使みたいだ・・・」

日は沈みながら、空を赤く
染めて行く・・・
 
それは、息を飲む程に

幻想的な空間
   
・・・電話の音が響く。

電話は、無事に女の子が誕生
したと嬉しい知らせを
届けてくれた。
 
杏は慌てて雅也に電話をかけ
彼が家に戻った後
みんなで病院へ出かけた。

出産を終えた百合は、元気
そのもので、立ち会った
真の方が疲れ果てていた。

途中、陣痛がパタリと治まって
しまったようで陣痛促進剤を
使用しての出産。
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