蜜林檎 *Ⅱ*
「ユリちゃん、赤ちゃん
 ナナに似て
 すごい可愛かったよ」

病室の外で待つ樹を手招く、杏

「ユリちゃんが
 イツキに会いたいって」

出産を終えた百合の元気な姿に
樹は、ホッとする。

「イッキ、ありがとう
 ナナの子守は疲れたでしょう
 本当、感謝しています
 ありがとう」

「ありがとうございます」

百合と真に、樹は首を振り
微笑みかけた。

「ママ、ナナね、イッキの
 おかあさんになるの
 
 イッキね
 うれしいって・・・」
  
「そう、でもねぇナナ
 イッキの、お母さんには
 もしかしたらなれるかも
 しれないけれど
   
 お嫁さんにはなれないのよ
 お嫁さんは、アンちゃんが
 なるからね」

首を傾げる菜那を抱き上げ
真は言う。

「ナナは、パパのお嫁さんに
 なるんだもんな」

「うん」
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