蜜林檎 *Ⅱ*
その笑顔は、とても幸せに
満ち溢れていて終わりが来る事
など、全く思いもしないで・・

お似合いの二人・・・

二人は、本当に
付き合っていたのだ。

杏の胸は、締め付けられる・・

杏が手に持つ写真を覗き見た
樹は言う。

「それは、もう遠い昔の事だよ
 だから・・・」

「違うの、そうじゃないの」

こんなにも幸せそうに笑い合う
二人にも別れの時は、訪れた。

私たちにも・・・

杏は樹の手を取り放れないよう
にしっかりと繋ぐ。

「ユリちゃん
 つらかっただろうなぁ・・・
   
 どれ程の痛みに耐えたの
 だろう
   
 きっと私には真似できない」

樹は、杏を
そっと優しく抱きしめる。

「杏、心配しなくていい・・・
 俺は、もう二度と
 おまえの手を放さない」
 
お互いの体温を感じる二人・・
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