蜜林檎 *Ⅱ*
その時、杏の部屋をノックする
音と共にドア越しに、雅也の声
が聞こえる。

「アン、そろそろ飯の支度に
 取り掛かるから手伝って
 くれないか?
 イッキ、おまえもうまい酒
 出してやるから来い」

雅也と、杏は二人並んで
包丁で食材を切っていく。
 
こうして、二人が並んでいる姿
を見ていると笑った顔など
二人はとても似ている。

時間は経ち、樹の携帯電話が
鳴る・・・

「もしもし・・・
 サクちゃん、着いた?」

「アン、やっと来たな」

こんなに嬉しそうに笑う

雅也の顔を杏は、もうずっと
見ていなかった事に気がつく。

店のドアが開き、懐かしい声
が聞こえた。

「親父さん
 ご無沙汰してます」

千里を筆頭に、博臣、圭司が
店に入ってくる。
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