蜜林檎 *Ⅱ*
料理台で作る手を休める事無く
みんなに出来上がった料理を
勧めて、意気揚揚としている
雅也の姿を、微笑んで隣で
見つめる杏。
  
みんな、久しぶりに食べる雅也
の料理に大満足。
 
楽しい会話も弾み、酒を飲む
ペースも、つい早くなる。

『本日
 
 身内での祝宴により休業』
 
とだけ書かれた紙が、ドアに
張り出され風にヒラヒラと
揺れている。

闇夜に洩れる、店内の明かり

笑い合う声・・・
 
座敷に料理を移動させお土産
のお酒を開け雅也も仲間に
加わり、千里と仕事の話を
している。

「そうか、事務所を・・・
 それは大変だったな
 でも、業界の事を知っている
 人が社長さんならそっちの事
 は全て任せて、お前達は
 好きな事をやれるな」

「はい、頼りになる人なので
 彼には感謝しています」
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