蜜林檎 *Ⅱ*
千里に続いて、みんな
御礼を言う。

「ありがとう」

「ああ、積もる話もまだまだ
 たくさんある
 いつでも飲みに来いよ
 待ってるからな」

寝起き顔の朔夜は
手を振り言う。
   
「また、ちょくちょく
 寄らせてもらいます」

「おう、待ってるよ」

皆は駐車場の方へと歩いて
行くが、樹だけは
杏の傍にいた。
   
何故なら樹は、この後
百合の病院へ、もう一度
杏と一緒に顔を出してから
そのまま、事務所へ向かう事
にした為だった。
  
千里は、振り返る。

「イッキ、後でな
 そうだ、アンズちゃん
 ・・・・
 イッキ、昨夜の事を覚えて
 いないだろうけど
 きっと君に伝えた言葉は
 イッキの本当の気持ちだよ
 
 だから、ちゃんと
 答えてあげてくれ」
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