蜜林檎 *Ⅱ*
百合の本当の想いに
触れた雅也。
 
「今のわたしは、あの家で
 お父さんとアンと
 シンちゃんとナナと
 過ごす毎日が宝物で
 かけがいのないものです
   
 だから辛い思いばっかり
 してるわけじゃなかったよ
   
 イッキとの別れや
 レツとの別れで絶望を
 味わったけど、その分
 今の幸せを掴む事もできたの
   
 だから、どうか、二人の事を
 許してあげてください
 お願いします」
 
頭を下げる百合の姿

百合の言葉の全てに
 
雅也の頑固なまでの思いは
消えていく。
  
「昨夜、イッキが泥酔して
 アンに結婚してほしいと
 告げた時・・・
 それがアイツの本心だと
 俺にはすぐ分かった
   
 俺が言えなくさせてしまった
 ・・イッキの本当の気持ち」

雅也はこれからは、ちゃんと
杏と樹の二人と向き合う事を
百合と約束する。
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