蜜林檎 *Ⅱ*
烈の言葉にみんな驚き
雅也も、杏も言葉が出てこない
 
その中でも、一番
驚いていたのは、樹自身だった
 
真は樹から、さっと
菜那を受け取る。
 
「握手してあげてください」

真の言葉に、我に戻った樹は
手を差し出した。

「ありがとうございます」

触れた手から感じる自分の
息子の体温に、樹は感動するの
だった、そして、放れる手。

「俺、この手を
 
 二度と洗いません」

そう言って喜ぶ烈の姿に
雅也は、もう笑うしかない。

「これからも
 ずっと、応援しています」

烈のその言葉に

樹は胸打たれる。

「ありがとう
 ・・・ありがとう」

烈から逸らした樹の瞳に
キラリと輝くものがある。
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