蜜林檎 *Ⅱ*
「うん、レコーディング中
 だからね
 
 今日も、きっと遅いと思う」

「それじゃあ、今日は
 泊まっていきなさいよ
 一人きりでイッキの家に
 居てもつまらないでしょう
 
 たまには、いいんじゃない
 女同士で話もしたいし」

「そうだね、うん、そうする
 イツキにメールするね」

久しぶりに、百合と雅也
真に菜那、そして新しい家族と
楽しい時間を過ごした杏は、今
自分の部屋で眠りにつく。
 
懐かしい匂いに、疲れた体は
癒され深い眠りにつく。

その頃、レコーディングを終え
て、家へ戻る樹は以前のように
マンションのドアの前で待つ
まりあの姿を見つけた。

「マリア、どうした?」

まりあは、樹に強く
抱きつき告げる。

「慰めてよ、イッキ」

まりあから離れる樹は
首を左右に振る。

「・・・無理だよ」
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