蜜林檎 *Ⅱ*
翌日、目を覚ました杏は
心地よい朝の香りに
両手を伸ばす。

「よく寝た~」

杏は携帯電話を手にとるが
樹からの着信や受信は無い。
  
時計は、朝の9時を指していた
樹は、きっとまだ眠っている。

樹の声が聞きたい

いつものように『おはよう』
と言い合いたい。

早く、樹に逢いたい。

こんなにも、彼が恋しい。

着替えて部屋を出た杏に
気づいた百合は、声をかける。
 
「アン
 ご飯食べるでしょう?」

「ごめん、ユリちゃん
 私一度、家に帰る
 夕方にまた来るから」

「えっ、アン・・・」

その時、玄関のドアホンが鳴る
  
ドアを開けた杏は、そこに立つ
樹の姿に満面の笑みを浮かべた

「おはよう、杏
 
 目が覚めたから
 迎えに来たよ」

「おはよう、イツキ」
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