蜜林檎 *Ⅱ*
「杏、今すぐ結婚しよう」
  
樹は、杏を強く強く抱きしめた
 
「どうしたの・・・イツキ?」

まりあの想いを知りつつも
樹は、自分の想いを止める事は
できない。

「俺は、もう二度と
 おまえを離したくない
 だから、今すぐ入籍しよう」

杏は樹の腕の中、頷き

幸せを噛み締めた。

「うれしいよ・・・イツキ
 ありがとう」

ありがとう・・・

嬉しい反面、杏は少し戸惑う。

どうしたんだろう・・・
 
『イツキ、何があったの?』

黙ったまま車を走らせる樹の
横顔に、杏はそう問いかけよう
としたが、言葉を飲み込んだ。

『何をこんなに
 急いでいるの・・・?』
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