蜜林檎 *Ⅱ*
樹に手を惹かれ、最寄の役所に
立ち寄り、婚姻用紙を貰う。
 
その場で書いて提出、結婚成立
という訳には行かない事を
知った二人は、とりあえず
用紙を貰って帰ることにした。

証人は雅也、又は百合夫婦に
お願いする事に決めた。

「杏、今夜、お店を手伝いに
 行った時に証人欄に署名して
 もらってこれる?
   
 明日には、必ず提出しよう」

杏は駐車場へと向かう足を止め
先を歩く樹の背中のシャツを
掴んだ。

振り返る樹に、杏は問う。

「イツキ、どうしてそんなに
 結婚を急ぐの?
 私は、今回のツアーが
 終わってからでもいいよ
 
 こんな忙しい時に
 入籍しなくても・・・
   
 メンバーの皆や事務所の
 社長さんにも話さなくちゃ
 いけないでしょう」
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