蜜林檎 *Ⅱ*
簡単にシャワーを浴びた後
水を飲み、一服をすませ
寝室へ向かう。

寝室のベッドで横向きに
眠る杏の髪を優しく撫で

彼女をそっと後ろから
抱きしめて目を閉じる。

「おかえり、イツキ」

「ただいま」

杏は寝返りを打ち、樹の
腕の中に包まれる。
 
瞳を閉じる樹の唇に
杏の唇がそっと触れた。

樹の細く長い指が、愛しく
可愛いい、杏に触れる。

その指は

優しいリズムを奏で

とても心地よい。

樹の横顔

節目がちな瞳・・・

儚くて、尊い。

彼の愛の全てを受け入れた杏は
これ以上無い幸せに満ち足りる

杏の全ては狂おしいまでに
樹でいっぱいになり
彼だけに溺れていく。
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