蜜林檎 *Ⅱ*
あの時、確かにピアスは片方
だけだった。
  
探している時に、もう一方を
落とす事など考えられない。

樹は、嘘をついている?

樹の瞳が、嘘などついていない
という事を杏は、分かっていた 

「俺を信じて」

樹は杏の手を引き、彼女を
強く抱きしめた。
  
そして、冷たい髪に触れた。

杏は、樹の腕に抱かれ

彼を信じたい気持ちで
いっぱいになる。

だけど、不安な思いは拭えない

貴方を、信じたい・・・
  
初めて、樹とまりあが寄り添う
姿を見たあの時の、あの感情が

杏の心によみがえり
不安にさせる。

息を呑む程に

お似合いな二人・・・
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