蜜林檎 *Ⅱ*
樹の寝室のドアが開け放たれ
二人は、暗黒の海に溺れる。

唇が痛くなるほどに

何度も口づけを交わす。

繋いでいた彼の手が解け

杏の全てに優しく触れる。

溶け合う二人は、互いに
相手の一部になる。
 
『イツキの手は
 
 私の手になる・・・』

そして、全てになる。

杏は、至福の時を得る。

樹の愛がここにある・・・

杏は、それを受け入れる。
 
抱かれて眠る・・・

この時が、永遠に

続くような気がした。

最近の樹は、仕事がひと段落
して長い休暇に入った為に
よくお店に顔を出すように
なった。
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