蜜林檎 *Ⅱ*
他愛のない話を雅也とした
後は、杏と一緒にデートに
出かけて行く。
 
そして杏をちゃんと
送り届けて、彼は帰って行く。

樹は必ず、雅也に一言告げて
から、杏と一緒に過ごすように
なっていた。

雅也は相変わらず、黙ったまま
何も答えてはくれないが
隠れて逢っていると思われる
行為だけは避けたかった。

樹の思いは、雅也に
ちゃんと届いていた。

そんなある日、いつものように
店で杏の帰りを待つ

樹の姿があった。

樹の携帯電話が店内に鳴り響き
杏からのメールが届く。

その内容は、少し残業で遅く
なる事を知らせるものだった。

「アンからか?」

「はい、仕事で少し
 遅くなるそうです」
< 21 / 275 >

この作品をシェア

pagetop