蜜林檎 *Ⅱ*
杏を見つめる樹の瞳は狂おしい
までに色気が漂い、杏は視線を
逸らせない。
 
そして、捕らえられた獲物の
ように逃げる事ができなくなる
 
彼の細く長い指が、杏に優しく
触れると彼女の体はゾクゾクッ
と震える。息が苦しくなり
胸の鼓動は狂う。

樹もまた、杏の透き通る白い肌
綺麗な胸元、華奢な体のライン
細い手首に浮かび上がる血の管
樹を見つめる潤んだ瞳に
酔い痴れる。
 
互いの甘い香りに漂いながら
軽い眩暈に襲われる。
  
混ざり合う体温、触れる唇

・・・愛し合い、溶け合う。

杏の掠れた甘い声に

重なる低い声・・・

「アンズ、・・・・・?」

「うん、・・よ」

ふたりは、ひとつになり

闇夜に、溶けていく・・・

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