蜜林檎 *Ⅱ*
『神様、私たちは
一緒になってはいけない
運命なのですか?
出会わせておいて
それは無いでしょう』
杏は、仕事を早退して
病院へ向かう。
そのタクシーの中で
放心状態のまま、グルグルと
同じ言葉を繰り返していた。
樹の事故の知らせを聞いた
杏の携帯電話を持つ手が
震える。
緊迫した声で、朔夜は言う。
「俺達は急いでも、病院へ
到着するのに二時間はかかる
アンズちゃん、お願いだ
イッキの傍に早く行って
あげてほしい」
樹は杏に逢う為に今朝早く
長野のホテルを出て新幹線で
帰省したのだった。
家路へ向かう途中に、無免許
の青年が運転する乗用車が
スピードを出しすぎてカーブ
を曲がり損ねて幼い少女を
轢きそうになったところを
樹は助けに入り、自分が車に
轢かれてしまったのだった。
身元確認後、連絡がなかなか
付かずに樹の事故から
約二時間が経過していた。
一緒になってはいけない
運命なのですか?
出会わせておいて
それは無いでしょう』
杏は、仕事を早退して
病院へ向かう。
そのタクシーの中で
放心状態のまま、グルグルと
同じ言葉を繰り返していた。
樹の事故の知らせを聞いた
杏の携帯電話を持つ手が
震える。
緊迫した声で、朔夜は言う。
「俺達は急いでも、病院へ
到着するのに二時間はかかる
アンズちゃん、お願いだ
イッキの傍に早く行って
あげてほしい」
樹は杏に逢う為に今朝早く
長野のホテルを出て新幹線で
帰省したのだった。
家路へ向かう途中に、無免許
の青年が運転する乗用車が
スピードを出しすぎてカーブ
を曲がり損ねて幼い少女を
轢きそうになったところを
樹は助けに入り、自分が車に
轢かれてしまったのだった。
身元確認後、連絡がなかなか
付かずに樹の事故から
約二時間が経過していた。