蜜林檎 *Ⅱ*
病院へ到着した杏を待つ
百合と雅也の姿があった。

「お父さん、ユリちゃん
 来てくれてたんだ」

「サクちゃんから電話を
 もらって
 びっくりしたわよ」

「それで、イツキの容態は
 ・・イツキはどこにいるの?
 早く、イツキに逢いたい」

「私達もさっき着いたばかりで
 何も知らされていないのよ
 
 今、事務所の社長さんが
 担当の先生とこれからの治療
 について話をしているわ            
 
 胸部骨折の手術は無事に成功
 したのだけれど、まだ
 集中治療室から出てこれない
 らしくて」

「イツキ、そんなに悪いの?」

杏は、その場にしゃがみこんだ

「アン、しっかりしなさい」

「お父さん、イツキが
 死んじゃったらどうしよう」

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