蜜林檎 *Ⅱ*
病室のベッドに眠る樹は数箇所
の外傷を手当てされていた。
カーゼで傷口を塞がれ
開けた胸には、包帯が巻かれて
いた。

そっと、樹の手に触れた杏は
痛々しい彼の姿に涙が零れた。
 
そして、生きていてくれた事に
心から感謝した。

樹の寝顔は、とても綺麗で
傷ひとつ無い。
  
杏は、彼の頬に触れてみた。
  
「イツキ、早く起きてね
 
 私は、ずっと
 貴方の傍にいるから」

『杏に逢いたい』

杏の声に、眠る樹の指が動く。

病院へ到着したメンバー
スタッフ、関係者の人達は
社長から樹の容態を聞き
彼が目覚めない事に、ひどく
動揺していた。

病室へ、順番に入っていく
メンバー。
    
千里、圭司、博臣・・・

沈黙が支配する。
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