蜜林檎 *Ⅱ*
病室の外には、重い空気が漂う

集中治療室のベッドに眠る樹に
朔夜は言う。

「イッキ、頼むから起きてよ
 みんな、寂しがってるよ」

朔夜の言葉に、返答の声は無い

虚しさに
朔夜の胸は締め付けられていく

「アンズちゃん
 ずっと、ここに居るの?」
  
杏は、頷いた。

「本当は駄目なんですけど
 社長さんが担当の先生に
 頼んで下さって、今日だけは
 許してもらえました」

「アンズちゃんが傍に居れば
 イッキ寂しくないね
 でも、無理しちゃ駄目だよ
 入院は長引くかもしれない」

「サクちゃん達も、ツアーの
 延期等でスケジュール管理や
 その他諸々、大変だと
 思いますけど、あんまり
 無理はしないでください」

「ありがとう
 じゃあ、何かあれば
 すぐに連絡してね
 夜中でも構わないから
 ・・・」
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