蜜林檎 *Ⅱ*
「イッキの事
 
 よろしくお願いします」

朔夜は、杏に深く頭を下げた。

この後、メンバーや関係者の
人達は、ひと息つく間も無く
忙しくなる。

まずは事故のニュースに
樹の無事を確かめる為の 
事務所に鳴り響く、ファンの声
や、集まる記者の人達の応対等
 
それから、ライブの中止に伴う
会場のキャンセル、チケットの
払い戻し作業。

宿泊先等のキャンセル。

樹の怪我が完治するまでの間
活動は休止せざる終えない。

気が遠くなる程の作業が
待っていた。

『話しかけても

 話しかけても
      
 貴方は何も答えてくれない』
   
「イツキ、皆、帰っちゃったよ
 寂しいね
 
 さびしいよ・・・イツキ」
    
二人で居るのに

寂しくてたまらない。
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