蜜林檎 *Ⅱ*
博臣の肩を叩く、圭司。

「オミ、大丈夫だよ
 昨日のCT検査では、異常は
 見つかって無いし
 今日の検査は、念の為だよ」

「そうだよな」

病室の外、杏は雅也と一緒に
樹の入院に必要な物を、一旦
家に取りに戻る為、病院を
離れるので、百合に樹の事を
頼んでいた。

「ユリちゃん、ごめんね
 少しの間だけ、樹の事を
 お願いします」

「アン、あのね・・・・・・
 ずっと言うのを忘れていた
 けど、ルリちゃんから今朝
 電話があってアンの携帯が
 繋がらないって心配して
 いたから、ちゃんと連絡し
 てあげてね」

「うん」
 
雅也と並んで歩く、杏の後ろ姿
を見つめる百合。

さっき百合は、大切な何かを
杏に伝えようとしたが
言えずにいた。

百合のその思いを、雅也は車を
運転しながら、杏に
話して聞かせる。
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