蜜林檎 *Ⅱ*
病室のドアが開き、車椅子に
乗った樹が戻って来た。

「みんな、来てくれてたんだ
 ありがとう
 モリちゃんまで、忙しい時
 にありがとう
 色々と迷惑をかけて、本当
 ごめんね」

マネージャーの森永は言う。

「私の事よりも
 イッキは大丈夫?」

頷く樹を、心配そうな表情で
見つめる朔夜。

「イッキ、どうなの
 体は痛む?」

「ああ、痛いよ」

ベッドに座る樹は、杏の姿
を探した。

「あれ、杏は・・・」
 
「入院に必要な物を今
 お父さんと家に取りに
 戻っているわ

 すぐに戻るわよ」

ベッドに横たわる樹に布団
をかける看護士。
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