蜜林檎 *Ⅱ*
「それでは、後ほど
 点滴をお持ちしますね」

「ありがとうございます」

看護士が部屋を出て行く。

「イッキ、点滴って
 痛み止めの?」

「痛み止めは注射?
 点滴は抗生物質と栄養剤?
 よく分かんないけど
 そのどれか・・・」

受け答えもしっかりして
思っていたよりも元気な
樹の姿に、みんな
ホッとするのだった。

「みんな、ごめん
 こんな事態になって
 俺の勝手な行動のせいで
 みんなに多大な迷惑を
 かけて反省してるよ」

頭を下げる樹に、朔夜は言う。

「いいんじゃない
 命が助かったんだから」

朔夜の言葉に、樹は
救われるのだった。
< 238 / 275 >

この作品をシェア

pagetop