蜜林檎 *Ⅱ*
「つい先ほど、お見舞いに
 来られたのですが
 先客の方がいらっしゃい
 ましたので、少し外の風に
 あたってくると言われて
    
 もうすぐ、戻って来られる
 と思われますが・・・」
 
「そう、ありがとう」

スタッフは、花瓶を手に
杏の花を持って病室を出て行く
 
樹は、点滴がついたままの
スタンドを押して
杏に逢う為に、病室を出て行く

杏は、外の風にあたった後
空き缶をゴミ箱に捨てて
樹の元へ急いだ。
  
遠く廊下の向こうからスタンド
を押して歩いてくる樹に
気がついた杏は駆け寄る。

「イツキ」

杏は、樹の点滴のついていない
側の腕に掴まり、腕を組み
甘える。

「大丈夫なの
 マリアさんは・・・?」

「さっき
 仲間と帰って行ったよ」
  
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