蜜林檎 *Ⅱ*
「はい、どうぞ、美味しいよ」

「ありがとう」

「イツキ、さっきの話
 なんだけど、結婚式を挙げる
 って本当なの?」

「もちろん、本当だよ
 入籍が先になるかもしれない
 けど、式は最初から挙げる
 つもりでいたよ・・・
 とは、言っても身内だけで
 細やかになるだろうけど
 それでもいいかな?」

「うん、いいよ」

杏は、瞳をキラキラ輝かせて
とっておきの笑顔を樹に見せた
  
「イツキ
 さっきはごめんなさい
 私、何も知らないくせに
 言い過ぎた」
 
樹は、ベッドの横に立つ杏の
手をとり、引き寄せて
彼女を抱きしめた。
   
「ありがとう
 杏が居てくれてよかった」

杏の頬に手を翳す樹、杏は
膝を曲げて

二人は、口づけを交わす。
 
樹の胸の奥深くにあった
傷ついた心に林檎の蜜が甘く
酸っぱく、解けていく。
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