蜜林檎 *Ⅱ*

三週間の入院生活をを終え
退院した樹。
　　
二人は今までに無いくらい
同じ時をゆっくりと過ごした。

仕事が終わると、杏は
真っ先に家に戻った。
　　
鞄の中からゴソゴソと
鍵を探して、開錠する。
　　
ドアを開けて部屋の中へ

そこには

樹が待っていてくれる。

「おかえり」

「ただいま」

幸せに満たされた日々を送って
かれこれ一ヶ月半が経過しよう
としていた。

樹の怪我の経過は良好で、肋骨
と肺挫傷は完治していたが
胸骨骨折は、完全に治癒する
までには、まだ
時間がかかりそうだ。

最近の樹は知人にリハビリ専門
の良い先生を紹介してもらい
その先生の元へ通っていた。